ふっふっふ、身体は正直よのぉ……。
光が丘駅でエスカレーターに乗ろうとしたら、なんだかバコンバコンと変な音がする。見上げると、みんな歩いて上っていた。一人や二人じゃなくて全員がそうやって歩いているので、足音が共振して増幅されているのだった。
よく見ると、エスカレーターが止まっている。みんなエスカレーターに足を乗せてからそのことに気づき、仕方なく歩いて登っているようだった。
ところが私の身体は「エスカレーターは動いているもの」という条件付けが出来てしまっているから、それが停止した状態というものを受け入れてくれない。だから止まっているエスカレーターを見ていると、次第に目眩がしてくる。やがては足元がおぼつかなくなり、フラフラする。
ほとんどの人が止まっているエスカレーターをエッチラオッチラ登っていたが、彼らはそんな目眩とかを感じないのだろうか。
私はそのエスカレーターを見た瞬間にもう目眩が始まったので、すかさず脇にある階段へと針路変更したのだった。
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