アンバランス・ゾーン
仕事が終わって携帯から帰るコールをしたら、なぜか変なオッサンの声がする。
「あ、木下ぁ?」
なんで自宅の電話にかけて、オッサンから他人の名前で呼ばれなきゃならんのだ?
「え? いやその……、どなたですか?」
切れた……。
気を取り直して、もう一度。なお携帯からは発信履歴かメモリダイヤルからかけてるので、番号の入力間違いという事はありえない。
「は~い、もしもしぃ~?」
出たのは、若い女性である。わが家に女性はただ一人、それも、こんなに若くない。なにげに癒し系な声だしもう少し聞いていたい気もするが、そういうわけにもいかない。
念のためにそこが私の家かどうか尋ねたが、もちろん違うと言われてしまう。
何だかこちらも意地になってきて、もう一度チャレンジする。怖いオッサン、癒し系オネーサンと来て、次はお婆さんでも出るか来るなら来いと思っていたら話中……。もはや完全に、電話交換機に弄ばれている。
さすがに話中では仕方がないので、女房の携帯にかける事にした。最初からそうしていれば良かったのだ。
無事に電話に出た女房に「今うちの電話って話中?」と尋ねると「全然」という答えが返ってきた。そこで今の体験を話したところ、ついさっき変な電話がかかってきたばかりだという。
「電話に出たらいきなり『どなたですか?』って聞かれちゃった」
電話をかけておいて「どなたですか?」もないもんだが、その人が私と同じ状況にいたのだとすれば理解できる。その人もきっと、自宅にかけたつもりなのに他人の声が出たので驚いたのだろう。
正直言って一瞬、ウルトラQの世界に足を踏み入れてしまったような気がしたのだった。
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