2005.02.15

録音コンサート

 久しぶりにプロジェクトXを見た。ネタはカセットテープ。この番組で初めて、TDKが東京電気化学工業の頭文字である事を知った。

 この番組はいつも見るたびに色々と驚かされる。今回まず最初に驚いたのが、「音楽を録るカセットテープを作る」という事そのものが「挑戦だった」という事実である。
 私にとってカセットテープとは「音楽を録るもの」であったら、それが当たり前ではない時代があった、という事にまず驚かされた。

 そして最も驚いたのは、TDKが音楽用カセットを開発する前、世間では「録音コンサート」なるものが催されていたという事である。
 客は登山用の背中に背負うフレームみたいなものにオープンリールその他録音機材一式をくくりつけてコンサート会場に乗り込む。会場の客席はそのオープンリールデッキと、デッキを前にヘッドフォンをつけた人とでみっしりと埋まっていた。
 オーケストラの演奏を直接自分の耳で聴くのではなく、マイクで拾った音をヘッドフォンで聞く。それも録音モニターだから、ひょっとすると一度録音されたものをリアルタイムで聞いているのかもしれない。

 自分も何度かコンサートに行ったことはあるが、そこでは録音されるのを防ぐため入り口でテレコチェックなどというものがあった。チケットの半券を切って入場した後に係員に鞄を開いて中を見せる、というのが当たり前だったのだ。
 まさかこの世に録音を目的としたコンサートが実在したとは、思いもしなかった。

 自分の常識と当時の常識が逆になっている、というあたりが新鮮な感じがした。それも、すでにカラーフィルムで記録されている頃だからそれほど極端に昔というわけではない。
 安易な表現だが、やはり時代は絶えず動いているんだなと実感したのであった。

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2004.07.29

匠のココロ

 永瀬唯氏のページで「実物大スコープドッグを作っている人」が紹介されている。これがまた凄まじい代物で、厚さ3.2ミリの鉄板を叩いて曲げて溶接して、というヘヴィー級な物。
 世の中には往々にして、こういうことをやってしまう匠な人というのがいるのである。

 で、こちらは先日友人から聞いた、微妙にベクトルの異なる匠の人。バイクの後ろ半分に自転車の前半分をくっつけてしまった。しかもこれ、合法だからナンバーつけて公道を走っちまおう、というもの。その名も「殺人君」。なお、正式なトップページはこっち

 フレームのセンター出しの方法がまるでアンコウの吊るし切りみたいだったり、燃料タンクが缶だったりと、まさに殺人君な代物。
 これが最終的には合法的であるとお役人からお墨付きをもらえたんだから、凄いもんである。

 誰かこのページ、地上の星をBGMにフラッシュムービーにしてくれないかな……。

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2004.05.15

青い目の人形

 囲碁教室が終わってから、先月歩いたコースをまた散歩する事にした。夜から高田馬場で飲み会があるので、それまでの暇つぶしである。

 まずは靖国神社へ。
 靖国通りに面した門からはいり、心洗亭の横を通って神池の前へ。池の中には、上越新幹線完成の記念に奉納された錦鯉が泳いでいる。
 そして池から目線をあげると、我が母校法政大学がある。唐突な高層ビルだなぁ。しかも、二枚の(あえて枚と言おう)薄いビルが並んで立っていて、上層部の階でそれをつなぐようなフロアがある。なんだか、ロボットに変形して怪獣と戦いそうな雰囲気だ。

 猛烈にシッコがしたくなったので、トイレへ。その後、ビルマ戦線の遺品展示を見てから無料休憩所に入る。中にはテーブルと自動販売機コーナー、それに無料提供の給湯室がある。お茶でよければ、飲み放題らしい。ただし、後片付も含めて全てセルフサービスの様だ。
 自販機は缶ジュース、紙コップの両方が用意され、その隣にはカップラーメンの自販機もある。
 おそらく法政の学生らしき数名が、ここで時間を潰しているらしい。大学生を見るたびに、自分が無為に過ごしたあの日々を思い出して胸が痛くなる。人生にたらればはない、というけれど、もし人生をやり直せるのならあの頃からもう一度やり直したいと思う。

 そして遊就館へ。本物のゼロ戦がお出迎えしてくれる。
 塗装が新しくなっているせいか、最初はハリボテかと思った。展示品の前(後ろだったが)にあった説明資料によれば、海外で見つけたボロボロの機体を分解して修理し、組み上げ直したものだそうだ。ニフティの模型フォーラムの連中に任せれば、もっと本物らしく塗ってくれるだろうに。
 遊就館は一階玄関ホールだけが無料で、本格的に見るには八百円の拝観料を払う必要がある。今回はパスしたが、次回は入って見ようと思っている。

 遊就館を出て、拝殿で手を合わせる。一応、二礼二拍手一礼を。お賽銭が十円てのは情けないが、見逃してください>神様。

 神門をぬけて第二鳥居をくぐり、駐車場へ。ここの休憩所と売店をのぞくと、観光地に来たという気分になれる。旅行に行きたいけど諸般の事情で無理、でもせめて気分だけでも、という時にはココに来ればいい。
 休憩所のメニューが観光地気分をいっそう引き立たせる。今度はここで食事でもしてみよう。

 そして本日の本命、昭和館へ。午後二時過ぎに入館して五時半まで、びっしり見た。
 ここの入場料が三百円というのは、絶対安い。各ブースにある映像資料がそれぞれ十分程度、それに加えて無料の音声案内端末を貸してくれて、これがやっぱり各ブース毎に十分弱の説明が入っている。
 一階で入場料を払い、七階へ。そこと六階とが有料フロアなのだが、七階の展示を見るだけで四時を過ぎていた。二時半前に入場したわけだから、一時間半かかっているというわけだ。
 六階の後半は賭け足で見るのが精一杯。これに五階の無料フロアがあるんだから、博物館としては太っ腹なんじゃないだろうか。

 フロアの各所に展示物と同時代の雑誌が置いてあって、手にとって読むことが出来る。第二次大戦当時の雑誌にあったコラムの内容がおかしかった。
「最近の若い女性は、電車の中でハリウッドの役者の誰それと誰それが結婚しただの別れただのと声高に喋っていて、実にけしからん。先日など、空襲警報が解除されたら空を見上げて、あの飛行機には役者の誰それに似たハンサムさんが乗っていたのかしら、などと言っている。言語道断である」
 とまぁ、いつの時代にもどんな状況でも、ミーハーもいれば愚痴親父もいるんだという事が良く判った。

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2004.05.14

猫の盛りには代えれない

 社員食堂で夕食を食べているときに、どういう流れだか「ねこまんま」の話題になった。若い連中が、ねこまんまの好き嫌いについて語り合っている。

「ねこまんまって、時々やたらと食いたくならね?」
「え~? だってアレ、ただの汁かけ御飯じゃん」

 え……?
 ちょっと待て。

「君らの言ってる『ねこまんま』てなぁ、どんなものを指してるわけ?」
「どんなものって……。御飯に味噌汁かけただけですけど」
「ちが~う! それは犬用で、ねこまんまは御飯に鰹節でしょうに」
「うっそで~~~~!」

 この俺様の半分ぐらいしか人間経験のない奴等に、全力で否定されてしまった。
 おかしい。何かが間違っている。この国の文化が、ゆがんだ形で伝わろうとしている。
 危機感を覚えた私はフロアに戻ると、定時になっても退社できないわびしき残業労働者連中に対して聞き取り調査を開始した。

一人目
 「ねこまんまですか? 御飯にお味噌汁をかけたもの」
 おのれ国賊め。

二人目
 「二種類あって、御飯にお味噌汁バージョンと、御飯に鰹節バージョン」
 おぉ、微妙なラインだ。

三人目
 「御飯に鰹節」
 よし! じゃ、御飯に味噌汁は?
 「イヌメシ……」
 君を人間国宝と呼ぼう。

 立派な教育を受けた次世代を担う人材を発見して安心したのだが、最初の二人は簡単には引き下がらなかった。

「ほら、ここには『日本の標準は「ねこまんまはご飯に汁をかける」に決定いたしました。』って書いてありますよ」

ねこまんまのレシピ

 アホタレめ。そ~ゆ~ふ~に断言されたらすぐに信じちゃうから、この国の文化が揺らいで行くのだぞ。だいたいこのページには、何の根拠も記されてないではないか。

 考えても見たまえ。
 猫は猫舌なのだ。
 熱い味噌汁をかけた飯など出したら、それは新手の拷問だろうに。

 誰が何と言おうと、ねこまんまは御飯に鰹節である。これはもう、改めて決定するまでもなく「昔からそう決まっている」のである。

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