録音コンサート
久しぶりにプロジェクトXを見た。ネタはカセットテープ。この番組で初めて、TDKが東京電気化学工業の頭文字である事を知った。
この番組はいつも見るたびに色々と驚かされる。今回まず最初に驚いたのが、「音楽を録るカセットテープを作る」という事そのものが「挑戦だった」という事実である。
私にとってカセットテープとは「音楽を録るもの」であったら、それが当たり前ではない時代があった、という事にまず驚かされた。
そして最も驚いたのは、TDKが音楽用カセットを開発する前、世間では「録音コンサート」なるものが催されていたという事である。
客は登山用の背中に背負うフレームみたいなものにオープンリールその他録音機材一式をくくりつけてコンサート会場に乗り込む。会場の客席はそのオープンリールデッキと、デッキを前にヘッドフォンをつけた人とでみっしりと埋まっていた。
オーケストラの演奏を直接自分の耳で聴くのではなく、マイクで拾った音をヘッドフォンで聞く。それも録音モニターだから、ひょっとすると一度録音されたものをリアルタイムで聞いているのかもしれない。
自分も何度かコンサートに行ったことはあるが、そこでは録音されるのを防ぐため入り口でテレコチェックなどというものがあった。チケットの半券を切って入場した後に係員に鞄を開いて中を見せる、というのが当たり前だったのだ。
まさかこの世に録音を目的としたコンサートが実在したとは、思いもしなかった。
自分の常識と当時の常識が逆になっている、というあたりが新鮮な感じがした。それも、すでにカラーフィルムで記録されている頃だからそれほど極端に昔というわけではない。
安易な表現だが、やはり時代は絶えず動いているんだなと実感したのであった。
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